横山研究室top -> 研究室の装置紹介 -> 大気雰囲気型紫外線光電子分析装置


 大気雰囲気中で、非接触、非破壊で物質のイオン化電位(Ip)、金属の仕事関数という物性値を測定することが出来ます。
 基本原理はEinsteinの外部光電子効果で、物質に可視光のような低エネルギーフォトンから紫外線のような高エネルギーフォトンを照射すると、物質に依存するフォトンエネルギーのところから電子が外部に飛び出します。そのフォトンエネルギー位置から有機分子のイオン化ポテンシャルや金属の仕事関数を知ることができます。この装置は、大気雰囲気で飛び出した電子が酸素に捕獲された酸素イオンを計数することで、大気下で容易に測定出来るのが特徴です。


<測定原理>
可視から紫外までのフォトンを照射することによってサンプル表面から飛び出した電子は、第1グリッドに向かって数ミクロン(大気中の電子の平均自由行程)移動し、その後電子は酸素分子に捕獲されO2イオンとして第1グリッド、第2グリッドを通り陽極(Anode)に運ばれる。陽極にイオンが近づくと強電界により電子なだれ(すなわち放電現象)を引き起こす。この結果、1個の電子は105〜107個に増幅され、プリアンプ出力Vsに放電パルス信号が発生する。低エネルギー電子計数装置は、放電信号を受けると第2グリッド電圧をVG2、第1グリッド電圧VG1をそれぞれただちに変化させ、検知部への酸素イオンのさらなる侵入を防止し、陽極での放電を停止させる。陽極での放電を停止するとただちにグリッド電圧をそれぞれ元に戻す。このサイクルが1秒間に何度起こるかで電子放出数をカウントすることが出来る仕組みとなっている。
 
有機分子のイオン化ポテンシャル