走査型トンネル顕微鏡(STM) 横山研究室top -> 研究室の装置紹介 -> 走査型トンネル顕微鏡(STM)


 この装置も原子間力顕微鏡(AFM)と同様の装置を用いて測定します。
 走査トンネル顕微鏡(STM)も原子、分子を一個ずつ直接観察できる手法です。導電性をもつ非常に細い針(探針)と試料の間に数ボルトの電圧をかけて、探針−試料表面間距離を1ナノメートル程度まで近づけると、探針は試料に接していないのに電流が流れます。この電流はトンネル電流と呼ばれ、探針−試料表面間距離に対して非常に敏感で、指数関数的に変化します。
 原子・分子の像を得るには、このトンネル電流を一定に保つように、圧電素子とよばれる電圧に敏感に反応する素子を介して、試料表面に沿って探針を走査します。
 このときトンネル電流を一定に保つために圧電素子に加えた電圧を記録し画像化すれば、試料表面の原子や分子を像として観察することができます。

 
高配向性グラファイト(HOPG)表面のSTM像
表面形状像
 高配向性グラファイト(HOPG)は、熱分解により生成された炭素の層状結晶です。このHOPGの表面層を粘着テープでへき開することにより、数μmにわたって広く平坦な表面を確保することができます。
 STMを用いて、へき開した炭素の表面状態を観察した結果がこの図です。STMを利用すれば、起伏が非常に少ない試料の極微少面積の観察も可能です。
 ただし、トンネル電流を利用するため、試料自体が導電性である必要があります。