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〜有機半導体は光エレクトロニクスの未来を開く〜
物質・生命工学専攻 分子システム工学講座
横山研究室
教授 横山正明、 助教授 平本昌宏、 助手 長山智男、中山健一

 横山研究室の研究内容を端的に表現すれば、"材料物性化学" です。さまざまな分子やその集合体は、それぞれの分子構造、分子集合状態に由来する特有の物性や機能を示します。さらにこれらの機能を巧みに組み合わせることによって、より高度な機能を発現するデバイスの構築も可能となります。  本研究室では、化学をベースとしつつ、個々の分子あるいはその集合体が示す化学的あるいは物理的性質を機能と捉え、その機能発現機構の分子レベルでの理解とその機能を最大に発揮するための分子設計、分子アッセンブリーの開発、さらにそれに基づく新機能デバイスの構築に関する研究を、画像形成デバイス、オプトエレクトロニクスデバイス、エネルギー変換デバイス、各種センシングデバイス等を中心に展開しています。
Molecular Architecture 21世紀は "光情報化時代" と云われ、光・電子機能が係わる新しい機能デバイスの出現に大きな期待が寄せられています。我々は、その可能性を秘める材料群として、分子設計が容易な有機材料を対象に、分子をシステム的に組み込んで、光と電気が係わる新機能デバイスの構築を目指しています。その研究姿勢は、材料を提供する化学をベースとする者が、新しい物性や反応、すなわち自らが見出した新機能を生かして、デバイスへ、さらにシステムへと展開することをモットーとしています。その観点に立って、Background Scienceを研究することこそ、「科学する」ことの本来の喜びがあり、夢があるのではないでしょうか。
小さい頃に抱いたいろんな夢を一緒に実現してみませんか?
1. 有機半導体の光・電子物性に関する研究
有機半導体の唯一の実用分野である感光体の写真とその動作原理
将来のディスプレイと成り得る有機EL素子
 無機シリコン半導体と同じように、電気を流し半導体として振る舞う一群の有機物があります。これらは有機半導体と呼ばれ、たとえば、その代表的な性質である"光で電気が流れる"光導電性は、日頃誰もが利用している複写機やレーザープリンターの感光体材料として使われています。この性質は、光を電気に変える太陽電池にも利用できます。また逆に電気を流すと発光し、ディスプレイとして利用できるものもあります。さらに最近ではこの有機材料を用いたトランジスターへの展開が始まっています。このように有機半導体は、将来の光エレクトロニクスのキーマテリアルとして大きな期待が寄せられています。私たちは、このような有機半導体の光・電子機能の発現メカニズムを十分に理解し、それをベースにより高性能な材料を開発し、さらにはこれまでになかった新しい機能をもつデバイスの開発や有機材料ならではの応用を展開しています。
 ・高性能感光体 ・高性能有機LED 
 ・有機太陽電池 ・有機トランジスター

2つの機能を組み合わせた「光→光」変換デバイス
「光→光」変換デバイスで実現された光OR演算
2. 光・電子機能材料を用いたオプト
    エレクトロニクスデバイスの構築
 また、私たちは有機半導体の基礎物性の理解の上に立って、新規なデバイスの構築を目指しています。最近私たちは、これまでに例のない、1個のフォトンで10万個もの電子の流れを制御できる光電流増倍現象を見い出し、さまざまな光エレクトロニクスデバイスへの応用を試みています。たとえば、この光電流増倍を示す有機薄膜と有機電界発光(EL)薄膜を積層一体化したデバイスで、光−光変換や入力光がパターンを保ったまま最大25倍に増幅されて出力される光増幅機能を実現しています。また、この光−光変換機能を発展させて、光情報の論理演算が行える光演算素子を実現しました。さらには、新しいタイプの有機トランジスターの開発も行っています。
3. 画像形成材料の開発とその応用
表面の濡れ性が変わることを利用して印刷を行ったサンプル 膨潤性の変化を利用して分解部分に形成したマイクロレンズアレイ
 有機材料は、光や熱などの刺激に対して分子構造が変化したり、反応していろいろな性質が変化します。このような物性変化は、画像の表示や記録のイメージング材料として利用することができます。 私たちは、有機材料の物性研究の中で見つけ出したユニークな現象を利用して、新しいイメージング材料としての応用を展開しています。特にポリシランというケイ素を主鎖に有するポリマーに注目し、その電子的特性や紫外光分解に伴う物性変化を積極的に利用した、新しい表示・記録・記憶材料の開発とデバイスへの応用を行っています。
フォトリフラクティブ高分子により記録・再生された一円玉の立体ホログラム セキュリティーシステムへの応用が期待される画像認識
4. 有機光・電子機能材料を用いる
        フォトニックデバイス
 光情報化時代の到来とともに、主役はエレクトロニクスからフォトニクスへと移りつつあります。中でも光を自由に操る「光のマニピュレーション」という技術が重要となっています。私たちは、光の強弱を屈折率で記録する、つまり光の干渉を記録(ホログラム記録)することができるフォトリフラクティブ高分子という材料の開発とその応用として立体動画の記録・再生を実時間で行うことのできる3Dトランジエントホログラムやセキュリティーシステムなどを研究しています。
化学をベースとして、光、電気などの物性をやってみたい人、集合!
材料の機能を活かして、何か新しいデバイスを創りたいと思う人、歓迎!
化学は化学で好きだけれど、ちょっと電気や物理にも興味がある人、歓迎!
材料を作りながら、それの持っている物性や機能を引き出したいと思う人、歓迎!
研究室URL:http://www-molsys.mls.eng.osaka-u.ac.jp/
訪問窓口担当者:長山智男 助手 E-mail:nagayama@mls.eng.osaka-u.ac.jp



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